伴奏ピアニストのお仕事

こんにちは♪
岡山市在住ピアニスト・講師の川﨑佳乃です。

最近、ありがたいことに伴奏や演奏の依頼が増えてきました。
先日は声楽の伴奏で大阪へ、そして来月はコンクールで管楽器の伴奏です。
日々新しい譜読みに追われていると1日が早く過ぎ去っていくものですね。

今日は伴奏ピアニストに必要な能力とは?について書いてみたいと思います。
学生時代の伴奏音源も発掘したので、気になる方は目次から
「吉松隆《デジタルバード組曲》」へ飛んでみてください♪

Contents

伴奏ピアニストに求められること

3つのポイント
・初見力
・アンサンブル能力
・対応力
初見力

初見力とは、その名の通り「初めて楽譜を見てすぐ弾ける能力」のことです。

伴奏者は基本的に、ソリスト(楽器や声楽のメインとなる演奏者)からピアノ伴奏をしてほしいと依頼されて、楽譜をいただきます。
そこで問題となるのは本番までの練習期間です。
例えば、本番の3ヶ月~半年前に楽譜をもらえるのなら練習期間が長いですし、じっくり練習することができるでしょう。

ですが、伴奏ピアニストの仕事として依頼されるうち、大抵の場合は本番の2週間前~1ヶ月前に楽譜が届いたりします。
しかも、クラシックやポピュラー、曲の難易度や曲数も様々で、たくさんの本番が重なったりすると1曲1曲の練習に費やせる時間はそれほどありません。

仮に本番までの期間が1ヶ月だとしても、それまでに必ず1回はソリストとの合わせ練習をすることが多いです。
つまり、練習までにはもちろん弾けていなければいけない。

限られた時間の中で、より多くの楽譜をさばいていく……
初見力とは職人技のようなものだなと常々思います。

アンサンブル能力

伴奏ピアニストには、ソリストを影で支え、ソリストと一体になって音楽を作り上げることが要求されます。
これが「アンサンブル能力」です。

例えば、こんな会話がされていたとしましょう。

Aさん
Aさん
〇〇くんはとても上手だけど、伴奏者としては我が強すぎて、逆にこっちが遠慮しちゃうなぁ……
△△さんは良い人なんだけど、要望を伝えてもなかなか合わせてくれなくて、いつも合わせ練習に時間がかかるんだ。
Bさん
Bさん

さて、上の2人が伴奏者に対して何を求めているか分かるでしょうか。

結論から言うと、アンサンブル能力に必要なのは「コミュニケーション能力」「洞察・察知する能力」です。

Aさんは、「ピアニストとしての技術は素晴らしいけど、〇〇くんの自我が強すぎて自分の要望が伝えられない」と言っています。
両者のコミュニケーションが取れていないようですね。
2人でアンサンブルをする以上、これでは一緒に音楽を作り上げていくことはできません。

Bさんの場合はどうでしょう。
△△さんは温厚でとても良い人柄のようですが、こちらは伴奏ピアニストとしての技術に問題があるようです。
例えば、声楽や管楽器の人は必ず、フレーズの途中でブレス(息継ぎ)をします。
「ブレスを取りたいから、伴奏もそれに合わせて少し待ってほしい」と要望を出したにもかかわらず、先に先に音楽を進められると、ソリストは困ってしまいます。
結果的に、細かい指示を出して合わせてもらうようにするのですが、それまでにソリストは長い拘束時間と練習回数を取られることになります。

伴奏ピアニストはソリストがどういう音楽を作りたいのか、常にアンテナを張ることが重要です。
ここは少し待ってほしいのかな?テンポを早めにしたいのかな?など、ソリストを見て聴きながら即座に洞察・察知して対応することも求められます。

伴奏ピアニストとして仕事をいただくと、大抵の場合は本番までに1回しか合わせ練習はしません。
当日の朝、1時間ほど合わせ練習をしてから本番、ということもあります。

短時間でお互いの意思疎通をはかり、数回通して練習しただけで終われば、お互いにWin-Winの関係になれます♪

対応力

伴奏ピアニストは、本番中何がおこっても常に冷静でいなければなりません。

音楽は生き物ですし、音楽家も人間ですから、予想外のハプニングがおこることは往々にしてあります。ソリストが入る小節を間違えたり、1段飛ばして演奏してしまったり、1小節短くなったりetc…

練習中なら、「そこ間違えてるよ!」の一言で済む話ですが、本番中はそうはいきません。言葉は発せず、ただ音楽が流れ行くのみ……

伴奏ピアニストはそんなハプニングがあっても、冷静にソリストが今どこを演奏しているのかを瞬時に聴き分け、何事もなかったかのように合わせて合流することが必要です。それが対応力です(笑)

これができると、本番後ソリストから大感謝されたり(笑)、「この人なら何が起きても安心して任せられる」と言われるようになります。

私の学生時代

伴奏ピアニストに求められる3つにポイントについて書いたところで、少しだけ私の学生時代について話したいと思います。

私が伴奏ピアニストとしての3つのポイントを習得できたのは、学生時代の伴奏経験によるものでした。器楽、声楽、室内楽、ピアノデュオ……とにかくアンサンブルが好きだったので、いろいろな楽器の伴奏を経験させてもらいました。

その中でも、大学時代は半分くらい現代曲の伴奏をしていたんですよね。
サックス専攻の専属伴奏者のようになっていまして、卒業時にはサックスの同級生8人中6人を受け持っていたり……
もともと全ての楽器の中で、サックスの音色が一番好きだったこともあって、それはもう喜んで伴奏していました(笑)

ただ、さすがは現代曲だけあって最初の譜読みの期間がとにかくつらい。
臨時記号と変拍子のオンパレード、ありえない跳躍や高速連打などに気が狂いそうになります。
手が小さいので物理的に無理な音型は省略やアレンジで乗り切ったり……
でも弾けるようになってくると現代曲はクセになってくるんですよね。
指は死にそうになるんですが。

大学院時代は声楽の伴奏を中心にやっていました。
楽器によって違いますが、大学院になると1人あたり約30分程度の演奏プログラムになるので、この頃には既に培ってきた初見力が役に立っていたと思います。

吉松隆《デジタルバード組曲》

大学院修了演奏会では、フルートの伴奏で吉松隆の《デジタルバード組曲》を弾きました。
5曲から構成されている組曲ですが、それぞれに『鳥恐怖症』や『夕暮れの鳥』などといった「鳥」にちなんだタイトルがついていて面白いです。
なんといってもフルートの音色×鳥のイメージがあまりにもピッタリで、初めて聴いたときは感動しました。
なんと当時の演奏会音源を発掘↓

まとめ

伴奏ピアニストに求められる3つのポイント、いかがだったでしょうか。

現在は私も伴奏ピアニストとして多くの仕事をいただけるようになり、やりがいのある日々を過ごしています。
自分自身もプロとして、伴奏ピアニストに求められることを改めて見つめ直しながら、1つ1つの演奏に真摯に向き合っていきたいですね。

卒業してから現代曲を演奏する機会が減っていましたが、来月のコンクール伴奏では管楽器の現代曲を弾く機会をいただけて、譜読みにやる気を出しています!

現代曲やクラシックはもちろん、カフェでのBGM演奏や、ポピュラー伴奏も行っています。
・どうしてもピアニストが見つからない
・本番まで時間がない
そんな場合でも対応致します!出張もOK!

岡山でピアニストをお探しの場合は、お気軽にお問い合わせください♪

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